2020年春、世界は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」による未曾有のパンデミックに襲われた。
私たちの住む北河内エリアもまた、その渦中にあった。
「医療用ガウンが足りない」「マスクが足りない」…そんな悲痛な声が、方々から聞こえてきた。
『我々で作るしかない!』…これは自社の「作るチカラ」を最大限に発揮し、地域貢献を果たしている企業の物語である…。
枚方市へマスク50,000枚、ポケットコート500着、感染対策キットを寄贈
ドキュメンタリー風にはじめてみました今回の「五つ星を探せ!」は、北河内を中心に店舗を構えていらっしゃいます、“しごとぎや”「株式会社たまゆら」さんにおじゃましました!
たまゆらさんといえば、枚方市を含む近隣6市にマスクやポケットコートを大量に寄付されたお話が話題になってますね。ありがたいお話です。
実はたまゆらさん、この品々とは別に、「医療用ガウン」を速攻で作成、納品されたとか。
たまゆらさんは枚方市と「災害時における災害救助用物資の供給等に関する協定」を締結されており、その協定に基づいて、市立ひらかた病院から不足している医療用ガウンの依頼が入ったそうです。
物語はここから始まった…。
枚方市役所 伏見市長と株式会社たまゆら代表取締役社長 岡本氏。 『「最前線で働くエッセンシャルワーカーの人たちをはじめ、多くの人たちにマスクを届けることが社会的責任」としてマスク寄贈を決めた』…と岡本氏。
足りない医療用ガウンを量産せよ!~医療崩壊を防ぐ人たち~
医療ガウンは取り扱いメーカーが2社ぐらいしかなく、ひらかた病院はその2社を使用されていましたが、当然ながらたまゆらさんが仕入れを手配しても間に合わない状況。それならばやはり作るしかない…。
「医療用ガウンを作る」といっても、今まで商品として作成していたわけではないので、イチからの作成。
カタログに仕様が載っていたのでそのカタログから似たような自社の型紙を使用したそうです。
規格打合せ→サンプル作成→製品作成の流れを経て、枚方市役所経由で打診があってからわずか一か月で55着を納品。製品作成の期間が実質一か月無く、しかも出社制限中でスタッフさんの人数も半分の中で作成されたそうな…。さらにその後2週間で計200着を納品。自社の縫製工場があってこそ、熟練の作業スタッフさんがいてこその、この迅速な対応。頭が下がります!
こちらがその医療用ガウンです。触った感じは生地に厚みがあり、しっかりしています。「滅菌して再利用に耐えうる生地」であることが仕様のひとつだったそうです。なるほどこれは長く使えそう。
手首の部分は最初はギャザーだったのですが、肌にフィットさせるためリブ袖口に改良となったとの事。いろいろ工夫が込められてます!メイドイン枚方ここにあり!
「ひらかた病院さんには、誰しもがお世話になっているので貢献したいという思いが強かったです。緊急事態なので、すでに注文をいただいていた他のお客様には納期延長のご理解をいただいた上で、作成作業をしておりました。しかしながら6月でも医療用ガウンはまだまだ品不足状態が続いています。」と神口さん。
「弊社を支えてくださっているのは地域に根付いている企業さんなので、何かしら恩返しができたら」ともお話しされていました。会社一丸となって地域貢献に真摯に取り組まれているのが伝わってきます。
大きくないから小回りがきく!必要とされる地域一番店でありたい
ではここで縫製を担当された、関連会社「たまゆらソーイング」さんにおじゃましてみましょう。
こちらでは作業服や白衣、帽子などの企画・縫製・刺繍・お直し・プリント加工などをされています。
お部屋に入るとミシンが元気に動く音が響いておりました。
受注→サンプル作成→布手配→裁断→縫製→仕上げ…が作成の一連の流れ。工場には今までの型紙や、大きな反物が置いてありました。型紙の多さにこれまでの実績を感じます。
作成するパーツによって使うミシンも技術も違うとの事。簡単なパーツ作成なら半年ぐらいで習得可能だそうですが、裁断から縫製まで全行程をひとりでできるようになるには数年は必要だとか。
和気あいあいとした雰囲気の良さからか、一度退社されて戻ってこられた職人さんもいらっしゃいました。皆さんこのお仕事がお好きなんだなぁと感じました。
しかしながら…職人さんの高齢化が進んでおり、後継者がいないのが悩みとの事。
神口さん 「作れる人がいないと今回のような緊急事態に対応できなくなるので、技術の継承は必要で、大事な事です。また、こういった工場があるから、いざという時に今回のように緊急対応できる。テレワークが当たり前の時代がくるかもしれないですが、メイドイン枚方、メイドインジャパン、モノづくりに長けているということは大切に守っていかなければならないと思います。」
本当ですよね…今後のためにも求ム!若い力!
たまゆらさんは「スタッフが元気に働く企業」を目指して、「働き方改革」を進めておられるそうです。そのあたりの素敵なお話はまた後ほどお伝えします!
神口さん 「今の建築現場や製造業のお仕事場で、若い人から『よそにないものを着たい』『ちょっと変わったものを着たい』という、ユニフォームの世界でも一般のファッションと同じような動きが出てきています。
そうなったときに2、30人の中小企業様、もしくは4、5人の建築会社さんなどが『変わったものを着たい』となると、海外のものでは何千枚、何万枚の発注が必要になり縫製ロットがどうしても合わないし、ユニフォームを販売している大手メーカーさんも別注品はなかなか受けない状況です。国内なら50枚からでも作成可能、多少コストが高くても、人と違ったユニフォームが着れるということで、最近注目されています。会社に限らず学校などのクラブ活動などでもユニフォームは『みんなでお揃い』を着るわけですので、魂がこもっています。そのお気持ちに我々はお応えしたいです。
国内で生地を手配、国内の人件費をかけての縫製は、海外の大量生産の商品よりやはり価格が高くなるけれど、品質が全然違う。今後メイドイン枚方、メイドインジャパンを大切にしていくためには、価格的な部分はご理解が必要かなと思います。」
ええもんはそれなりのお値段して当たり前です。メイドイン枚方を応援します!がんばってください!
従業員さんに対しても「お節介」でありたい!たまゆらのステキ福利厚生
さて、先ほどチラリと話題に出しましたたまゆらさんの「働き方改革」について。従業員さんをバックアップする、いろいろな取り組みをされているようです。例えば、「育児時短制度」で子育てを経てスムーズに仕事に復帰できる仕組みや、住宅購入で20万円、子供の出産で一人目10万円、二人目5万円、三人目以上は2万円のお祝金を支給する「生活一時金制度」などを導入されたそう。どちらも物入りなタイミングなのでありがたいですね!
また、年一回の健康診断はもちろんのこと朝一番のアルコールチェックや検温など間接的に健康面でもバックアップ!
そういった取り組みによって、たまゆらさんは国が定める「健康経営優良法人」にも認定されています。社会的な評価もあって、従業員さんもきっと鼻が高いことでしょう。
従業員さんの余暇を豊かにするために会社契約の会員制ホテルの利用ができたり、系列会社の「たまゆらの里」を割安で利用できたりもするそうです。「たまゆらの里」は社員研修でもお使いになるとか。パンフレットを拝見したところ…え!なにこの素敵リゾート!一棟貸しで露天風呂付、プールもあってBBQもできちゃうとか最高じゃないですか…。山々の緑と川に囲まれて、めっちゃリフレッシュできそう…。一般利用も可能なそうなので、ぜひ行ってみたい!
今年はコロナショックにより開催を控えているそうですが、例年であれば従業員さんのコミュニケーション向上を目指して、本社社屋で従業員さんとそのご家族をお招きしたBBQ大会やクリスマス会、新年会などもあるとのこと。楽しそう~!
「従業員に対して、お節介でありたいと常に考えています。無関心にならずに、徹底的に対話することを心がけています。日本一コミュニケーションが豊かな会社になりたいと心から願っています」と代表取締役社長の岡本さん談。た、頼もしい…!なんでも相談できそうな社風って素敵ですね。
「仕事着忘れた…」ならばこちらへお越しください!アウトドアにもグーです!
続きまして、最近の「イチオシ商品」を拝見しに、たまゆらさんの店舗「TAMAYURA 枚方堂山店」さんにおじゃましました。仕事着お忘れのお兄さんが目印です(笑)ここなら全部揃いますよ!
こんにちはーと入店。こちらのお店は従来の作業用品店とは違った、とてもカジュアルな雰囲気です。
陳列されているお品がなんだかカッコいいです。
夏にイチオシなのがこちらの「ファン付きウエア」!軽量ベスト、ファン、ケーブル、バッテリーが付いた「コンプリートセット」が税別9,800円!「今年の風神服は涼しさが違うッッ‼!」と熱意を感じるポップ。アツいけど涼しい!
もちろん試着もできます。ひこぼし君も着てみました。
ファンを起動すると脇の下からファ~~~~っと風が抜けてきて気持ちよさそう~~!
写真ではわかりにくいですが、脇のリボンがなびいています。
そしてこのドヤ顔である(2回目)色や柄、サイズもいろいろあります!
野外でお仕事される方だけでなく、最近は一般の方の購入も増えてきたとのこと。
神口さん 「普段の散歩、農作業、ガーデニングの時などにもお使いいただいているようです」
熱中症対策にもよさそうですね。取材班の中にも「父の日に贈ろうかしら」という声も。私も欲しいです。
続きましてはこちらのお品。「超撥水デニムパンツ」。ディスプレイがめっちゃ動的!
「これねー、すごいんですよー」とおもむろに霧吹きで水を吹き付ける神口さん。えっそんなご無体な!
ご覧くださいこの水はじき。超撥水!水玉がコロコロと動いていました。
パンパンっと水玉を払い落とせば元通り。アクティブなレジャーに大活躍しそう。レディースもあります!
この作業着っぽくないけど高機能な商品は、たまゆらさんの新展開「Tamayura Athle(たまゆらアスレ)」というブランド。「普段着にプロ品質を…プロ品質を兼ね備え、アウトドアファッションを取り入れた思わず動きたくなる服」というコンセプトのとおり、動きやすく、汚れても丸洗いできて、それでいてオシャレ。そしてアウトドアショップよりもちょっとお手頃な気がします。
たまゆらアスレの詳細はこちら
「作業服がだいぶオシャレになってきています。今後どうやって発信していくかが要ですね」と神口さん。
たまゆらさんは各種SNSも積極的に活用されており、youtubeで「たまチャンネル」という動画チャンネルも開設、見た目ではわからない商品の機能性や魅力を社員さん自ら出演し、配信されています。実験面白い!たまゆらアスレをまとってのかっこいいダンス動画などもありますよ!
ここにもいました!会いに行ける選手
お店でワーキャー取材していると、カウンターに素敵な店員さんを発見。あら?あなたは…FCティアモ枚方の松浦航洋選手!実はたまゆらさん、FCティアモ枚方のオフィシャルスポンサーでいらっしゃいます。
松浦選手はこうして店頭カウンターでお仕事されていることも。会えちゃう選手!(たくさん買ってね!)
今回はたまゆらさんの裏側・裏話をいろいろお聞きできました。皆様お忙しい中ありがとうございました!
「たまゆら」という社名にこめられた想い…。代表取締役社長 岡本さんより
代表取締役社長 岡本 哲さん。
代表取締役社長 岡本さんには今回はお会いする事が叶いませんでしたが、心のこもったメッセージをいただきました。ありがとうございます!
―「たまゆら」という社名について
社名である「たまゆら」は漢字で「玉響(たま・ひびき)」と書きます。
古代の首飾り勾玉(まがたま)は、揺れるたびに玉と玉が触れて、きれいな音色が聞こえてきたそうです。この音色のことを玉が響いて出る音の意味で、「玉が響く」と書き、その読みをその玉が揺らぐ姿から「たまゆら」と発音したそうです。
お客様との触れ合いの中で響き合い、心優しい音色を奏でる関係を作りたい。その想いから 社名を「たまゆら」と名づけました。
私達の、たまゆら が大切にしていることは、「お客様の働く毎日をより良く、より楽しくすること」です。暑い夏でも、寒い冬でも、快適に仕事が出来るグッズの開発を行い、これからの時代を担う若者が、楽しく仕事が出来るワークスタイルの提案を行います。そして、働く人達の仕事で必要なグッズの販売を通じて、世の中のお役に立っていきます。
―販売拡大作戦、地域貢献などについて
地域に密着した「リージョナル・チェーン」として、お客様から信頼される企業を目指します。
これからは、地方の過疎化が進む一方で、都市部への人口の流入が予想されます。大都市だけでは無く、住みやすい中規模の都市も見直されてきており、特に高齢者の行動範囲は狭く便利な街での生活が中心になるからです。そんな生活スタイルの変化に合わせて地域に密着した企業が見直されています。
それは、個人商店では小さすぎるし、全国チェーンでは大きすぎることも、地域に密着したリージョナル・チェーンでは細やか対応も可能だからです。加えて、個人商店では出来ない仕入のスケールメリットを活かした、お得な商品や、大手チェーンでは対応出来ない細やかな接客が求められているからです。
たまゆらは、その部分をより強化する事で、これからも大手チェーンを抑えて地域一番店として発展を続けていきます。
また枚方市も出展しました、たまゆらフェスタでは、お客様の紹介や万国博覧会協会などの地域団体の活動報告の場を提供して来ました。それらの活動がお客様から評価されて喜ばれています。これからの活動も幅を広げるためにも、日常の営業活動や、店舗においても、お客様同士の紹介や仲介、地域団体の活動のお手伝いを行なっていきます。
お客様を紹介するためには、お客様の仕事内容を学ばなくてはいけません。また社会活動のお手伝いをするには、地域を学ばなくては行けません。地域のお役に立つことが、実は私たちの成長につながっていると考えています。
まとめ!たまゆらさんってこんな会社!?
- 地域の皆様にも従業員にもたっぷりお節介。
- いざという時に頼りになる、地域愛にあふれた会社さん!
- オンライン(インターネット)もオフライン(手仕事)もサービスいろいろ展開されてます!
※レポーターの勝手な推測です!本当のところはこちらでどうぞ!
株式会社たまゆら