情熱ものづくりインタビュー
株式会社アトリエMay
紙の地産地消をテーマに、エコと和を楽しむ暮らし
第四回目のインタビューは、淀川・鵜殿ヨシと枚方・穂谷の竹など地元の地域資源を活用した事業に取り組まれている株式会社アトリエMayの代表取締役塩田真由美さんにお話を伺いました。
塩田さんは、アートが好きで、中でも紙にこだわり、地元にこだわり、人にこだわるうちに、淀川・鵜殿のヨシ紙に出逢い、枚方・穂谷の竹紙に出逢われました。
紙・A・KA・RIのある暮らし
――――株式会社アトリエMayは、どのような会社ですか?
紙の地産地消をテーマに、和紙のあかりと淀川のヨシ紙や枚方・穂谷の竹紙を中心とする企画・デザイン(照明器具・パーティション・ステーショナリー・ヨシのお箸など)をする会社です。最初は和紙をキーワードにしたアートギャラリーでしたが、現在は、和紙の明かりを中心にし、地元の植物から生まれた紙―淀川・鵜殿のヨシ紙と枚方・穂谷の竹紙―を使用したインテリアアートから雑貨まで、企画・デザインする事務所となりました。
――――和紙との出会いをお聞かせください
もともと絵を描くことが好きでした。学校卒業後、友禅の職人になり、その後デザイン事務所での図案の勉強、自宅でのイラストを描く仕事をしながら、ある出会いがきっかけで、地元交野でミニカフェ「和アートカフェMay」を開店しました。
「和紙の明かりでカフェタイム」をキャッチコピーにし、和紙の明かりや和小物を取り入れたりしていたところ、竹紙作家・田上武子さんと出会い、和紙と出会い、そしてヨシを使ったヨシ紙との出会いへとつながっていきました。
素朴で温か。アトリエMayの「ヨシ紙作品」
――――どのような商品がありますか?
主力商品としては大きく二つあります。一つは、ヨシ紙や竹紙を使って、照明器具、パーティション、パネルなどのオリジナル商品の受注制作。二つ目はヨシ紙を使ったステーショナリーや扇子、ヨシをプラスチックと複合して作られたお箸などの雑貨商品です。ヨシのお箸やステーショナリーのオーダーもできます。記念品・個展やイベントなどの販促商品としてもご利用いただいています。
つまり紙は地産地消です
――――ヨシへのこだわりについて教えてください。
ヨシは、二酸化炭素を閉じ込め、地球温暖化を防ぎ、またチッソやリンなどを水の中や土の中から吸い上げて栄養分とするなど、淀川の水質浄化につながっています。
鵜殿は「土佐日記」にも登場する歴史的な名所でしたが、ヨシ原は河川改修事業で激減。その後の保全活動などで回復しました。
刈り取られたヨシを有効活用し、和紙にして環境保全に役立てようとする活動を知り、環境に配慮したヨシ紙をアートの分野で活用したい、大切な地域資源を作品として伝えたいとの思いから、自社の製品に活用しました。
ヨシ紙は、柔らかな手触り、素朴さ、温かさ、穏やかな色感で自然の豊かさを感じさせてくれます。
――――今後のビジョンをお聞かせ下さい。
様々な事業者様のご協力を得て、鵜殿のヨシ原のヨシを活用した商品が、次々と生まれてきました。これらの商品達が消費されることで、ボランティアではなく事業として経済価値ある鵜殿ヨシ原を守るという仕組みを作り、次世代に自然や文化を繋いでいけるような事業にしたいと思っています。
また、女性の感性を活かしたデザインを大切にして、地域の働く場をもっと提供できたらいいと思っています。
――――最後に、座右の銘についてお聞かせ下さい。
人間万事塞翁が馬です。
――――お忙しいなか、貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
インタビュー後記
ヨシを使った照明器具は安価なものではありませが、環境に優しく、やすらぎをもたらします。オーダーメイドで作っていただけるので、オンリーワンのものをうけとれます。また、大切な人への贈り物としても最高ですね。郷土・枚方を愛する塩田さんですが、女性経営者としても、女性企業家への支援にもお力をいれていただいています。